TiE UP! Vol.6
「チョコレートとネクタイと私たち。
それぞれの想いが織りなす、異色のコラボの裏側。」

TiE UP! Vol.6<br>「チョコレートとネクタイと私たち。<br>それぞれの想いが織りなす、異色のコラボの裏側。」

お菓子からアイスまであらゆる商品を扱う、お口の恋人ロッテ。誰もが食べたことあるであろう商品の数々は、私たちの日常に小さなワクワクや喜びを届けてくれます。
今回、そんなロッテさんとgiraffeが出会い、コラボレーションが実現。 TiE UP!Magazine vol.6のハタラキビトは、新卒で株式会社ロッテに入社し、営業、人事、広報を経て、マーケティング本部ブランド戦略部ガーナブランド課であり、今回のコラボ企画の伴走者である成田彩子さんです。

インタビュアーは、今回のコラボの発案者でもあるgiraffeのデザイナー・中村裕子。ともにプロジェクトを伴走してくださった成田さんに、コラボレーションのお話や仕事への向き合い方などについてお話を伺いました。

想像を超えるコラボレーションに

中村裕子

中村裕子(以下、中村)

本日はよろしくお願いいたします。ロッテさんもネクタイ屋とのコラボは初めての試みだったと思いますが、ネクタイブランドのgiraffeに対して率直にどんな印象を受けましたか?

成田彩子

成田彩子(以下、成田)

giraffeの皆さんと初めてお会いしたのが、今回のコラボ企画の内容をご提案いただいた時なんですが、すごく楽しそうにお話をされるなという印象で、こちらの意見も優しく受け止めてくれるし、なんて素敵な方たちだろうって思いました。その後も「過去にもこんなネクタイを作っていて~」とすごくイキイキとお話されていて、楽しく仕事されているんだなっていうのが伝わってきました。なので、一緒にやると決まった時はうれしかったですね。私も聞いてみたかったのが、どういうきっかけでロッテとコラボしようと思ったのですか?

中村裕子

中村

日ごろネクタイをデザインする中で、お客様がネクタイを身に着けているときだけでなく、ネクタイを選ぶ時間も楽しんでもらいたいなっていう思いがあります。そこで、誰もが知っているかわいいお菓子のパッケージをデザインに活かせたら、ネクタイを選ぶ時間も一層楽しんでもらえるかなと思い、今回ロッテさんにコラボレーションのご相談をさせていただきました。

実際にお会いして、ロッテさんのお話しを伺ってみると、DO Cacao Project(※カカオという素材にとことん向き合い、探求し、ものづくりの可能性を広げていくプロジェクト)の企画書を見せてくださって。これは想像していた以上に面白いことができそうだなと感じたんですよね。そして、実際「CACAO TIE」をつくることができました!

中村裕子

中村

ロッテさんにご提供いただいたカカオハスク(カカオの皮)から染料を抽出し、環境に優しい染色法「ボタニカルダイ」によって染めた絹糸を使用して生地を織っていますが、とても柔らかな風合いで、上品な色味に仕上がりました。カカオから染料を抽出しているところも見学させていただきましたが、その空間に広がるカカオのほんのり甘い香りがなんだか幸せな気持ちになり、こういった染料で糸を染めるところから取り組めたのは、とてもいい経験でしたし、素敵なアイテムに仕上がりました。

成田彩子

成田

そうだったんですね。私もはじめgiraffeさんからお話をいただいた時に、これはDO Cacao Projectでコラボするのがいいなと思いました。結果的にはタイミングもよく、ガーナチョコレートとのコラボも含めてとんとん拍子に物事が進んでいったなっていう印象があります。私はまさかお菓子会社に勤めていて、ネクタイの写真撮影に立ち会うことまでは予想していませんでした(笑)

中村裕子

中村

そうですよね(笑)

身に着けた時の周りの人たちの反応を想像するところからデザインする

中村裕子

中村

プロジェクトを進めるにあたって、ネクタイブランドとしてのgiraffeとの仕事の中で何か気になったところはありますか?

成田彩子

成田

私は中村さんとやりとりすることが多かったので、中村さんの印象になってしまうかもしれないんですが、お客様が商品を選ぶとき、どんな風に感じて、どう心が動いて、実際に選ぶのかを考えてデザインしていますと仰っていて。一歩間違えると、こういう風に思ってほしいとか、メーカー側の一方的な押しつけで作ってしまうところがありそうですが、お客様の手に届く先のところまで考えているところはすごく学びになりました。

中村裕子

中村

そうですね、たしかにデザインアイデアの想像をするというよりは、実際に身に着けた時の周りの方の反応を想像するようにしていますね。こういうアイテムを出したら面白いと思ってもらえるかなとか喜ばれるかなとか、ネクタイを通して人の気持ちがどう動くかということをよく考えていますね。

中村裕子

中村

チョコレートを食べながらネクタイをデザインしていた時、この箱(Ghana)が手元にあったんです。その時、この箱にチョコレートのタイピンが入ってプレゼントされたら、とっても驚くし、嬉しいだろうなと思い、チョコレートをモチーフにタイピンも制作することにしました。 今回のコラボアイテムについて、実際にロッテさんの中での反応はいかがでしたか?

成田彩子

成田

GhanaTIEは思わず笑ってしまいました(笑)。「前面に来たねー」みたいな感じで、くすくすって感じでしたね。チョコレートのタイピンは本物そっくりで社内でもかなり話題になりました。女性だけじゃなく、男性の先輩にも見せたところ、すごく可愛いし、本物のチョコレートそっくりだねという感想をいただきました。ネクタイにチョコレートついてる!って突っ込みたくなるようなクオリティですよね。

中村裕子

中村

そうですよね(笑)今回もタイピンの制作はe.m.さんにお願いしたのですが「忠実にチョコレートにしてください」ってお願いしたら、チョコレートをそのまま型取りして作ってくださったんです。後日、「チョコレートできました!」って持ってきてくださり、実際に見たら本当にチョコレートそっくりで(笑)

e.m.

笑顔が絶えない打ち合わせの背景にある想い

中村裕子

中村

これまで、新卒の営業から広報、採用、マーケなど様々な部署を経験されていますが、仕事をするうえで大事にされていることはありますか?

成田彩子

成田

本当に当たり前の話になってしまうのですが、相手の立場になって、考えるということだけは常に意識するようにしています。 打ち合わせをする中で、お客様の立場になってという考えはもちろんですが、一緒に仕事をするパートナーに対しても、いま相手がどういう立場にいるかを知らないことで、失礼なことになることもあるし、プロジェクトを成功させるために、どうやったらみなさんモチベーション高く、楽しく働けるかって、常に相手の立場になって考えるようにしていますね。

中村裕子

中村

成田さんとのお仕事はとても気持ちがいいなと思っていましたが、実際に意識している部分もあったのですね。新卒のころからそういう考えをお持ちでしたか?

成田彩子

成田

全く持っていませんでした(笑)始めは営業を担当していたのですが、そのころはいかに自分を出していくかみたいなことを考えていて、今考えてみたら自己中心的で態度も大きかったと思います。 あるとき、上司と色々話しているときに「そういう部分も必要だけど、次の人のことまで考えて仕事してる?」と言われ、実際に目の前の売り上げのことばかりを考えていたので、ハッとさせられたのを覚えています。その後、営業から人事に異動して、採用を担当したときにその言葉の真意が分かったような気がします。新卒採用の説明会で大学生や就活生向けに会社のことを語るため、いままでは商品のことだけを知っておけばいいかなくらいだったんですが、どの部署がどういう仕事をしているのか、そこに携わるのはどういう考えを持った方なのかなどを知るようになり、そこで営業の時に思っていたことがすごく自分よがりだったなってことに気づきました。

自信がなかった自分を変えるきっかけは、自分自身の行動そのもの。

中村裕子

中村

今回のコラボレーションも前例のない企画ですし、これまでもいろいろな壁があったかなと思うのですが、自分の支えとなるようなきっかけやエピソードはありますか?

成田彩子

成田

Ghana担当として異動したころ、これまでにないくらい忙しかったんです。CMを直近で数本撮りますとか、雑誌のタイアップにサイト改修、バレンタインの準備をしつつ、母の日もあって、とにかくやることがたくさんあり。
それが半年ほど続いたんですけど、あの時に逃げなかったのは自分の中で大きいですね。 ただ、当時は他の方の顔色を伺って最終判断も他人任せにしている部分がどこかにあって、それは自分に自信がなかったからなんですよね。宣伝自体もそんなに長くやったことなかったので、 ちゃんと勉強しないとブランドにとっても、一緒に働いているチームとか代理店のメンバーとかにもすごく失礼だなって思いはじめて、 そこから半年くらい、宣伝にまつわるセミナーに参加したり、フードコーディネーターの学校に通ったりしました。そういった動きをしはじめて半年ほどたったころから、少しだけですが、代理店のクリエイティブチームとも対等に話せるようになってきたのを感じて、さらに仕事が楽しくなりましたね。 あのときなあなあにしないで、ちゃんと行動に移せたというのが、私の中では今につながった一歩だったのかなと思います。

中村裕子

中村

ご自身で宣伝の勉強もされていたんですね。とても忙しく仕事をしながらさらに勉強などもするとなると本当に大変だったのではと思います。逃げだしたくなるときはあると思うのですが、どうやって乗り切っていましたか?

成田彩子

成田

単純なことかもしれませんが、当時の上司がものすごく励ましてくれたり、相談にのってくれたりしました。 私が「どうしよう」ってなって相談するときは、どんなに忙しくても必ず手を止めて、こっちを向いて、時間を取ってくれるんです。 ちょっとしたことなんですけど、それがなかったら、自分の中でため込んじゃって、踏ん張れなかったんじゃないかなって思います。 今のチームも楽しいですし、私は本当にチームには恵まれているなと日々感じています。

中村裕子

中村

それも、成田さんが逃げないで頑張る人だって分かっていたからこそそういう風に励ましてくださっていたんでしょうね。最近だとリモートワークも増えていると思いますが、その中で大事にしていることはありますか?

成田彩子

成田

先ほどの話と少し通じる部分もありますが、雑談をする ってことですかね。リモートワークになるとなかなか雑談することも減ると思うのですが、 月一回くらいはチームがリアルでそろうので、ふとした合間に、チーム内で雑談をするように心がけています。 些細なことで話しかけたり、必ず言葉を交わすことは心がけていますね。

中村裕子

中村

今回リリースされたDO Cacao Projectは今後どのように展開する予定でしょうか。

成田彩子

成田

単発で終わるのではなく、継続して行っていくことが大事なプロジェクトだと思っているので、今後もチョコレートを軸としながら、それ以外の領域でも、協業先の皆様のお力もお借りしながら、 カカオを使ってどんなことができるのか、どんな可能性があるのかを考えていきたいと思っています。少し言い方を変えるならば、カカオといかに真剣に遊べるかでしょうか。

中村裕子

中村

今回のコラボをご一緒させていただき、カカオに真剣に向き合うロッテさんの心意気を改めて感じることができました。これからのDO Cacao Projectの展開も楽しみですし、まずは一緒に作らせていただいたネクタイをたくさんの方に手に取っていただけたら嬉しいです。

※「DO Cacao Project」とは
「DO Cacao Project」は、ロッテがカカオという素材にとことん向き合い、そのポテンシャルを最大限引き出したチョコレートづくりに挑戦する中で、異業種と連携することでさらにカカオのものづくりの可能性を拡げていくことができるのではないかと行きついた共創実験型のプロジェクトです。
特設サイト:https://www.lotte.co.jp/products/brand/docacao/

2021年の夏ごろから動き出して、スピード感をもって進めてきたコラボ企画。タイトなスケジュールではあったものの、ロッテさんとの打ち合わせは終始笑顔の絶えないものでした。それは「一緒に働くパートナーもいかに楽しんで仕事できるか」ということを常に意識されていらっしゃる成田さんが織りなす空気感だったのだと改めて感じました。チョコレートとネクタイ、一見かなり異色のコラボレーションですが、そこにそれぞれの意味を見出し、お客様にとっての価値をつくりだす。「お客様にワクワクを届けたい」という共通の想いがあるからこそ実現した企画です。どんなに大きな企業でもそこで働く一人ひとりの想いが、商品やサービスという形になってお客様のもとへ届いていきます。今回は、ロッテのみなさんとそんな手触り感のある仕事ができました。コラボアイテムたちが、一人でも多くの方の笑顔を生み出せますように――。

▼giraffe×ロッテのコラボレーションアイテムはこちら
https://giraffe-tie.com/blogs/giraffe-journal/lotte

■Profile:成田彩子
2009年入社 ロッテ商事株式会社 東京圏支店
2010年   株式会社ロッテ 人事部採用グループ担当
2012年   株式会社ロッテ 広報・宣伝部 広報担当
2014年   株式会社ロッテ 広報・宣伝部 宣伝担当
2016年   株式会社ロッテ マーケティング本部ブランド戦略部ガーナブランド課 現在に至る

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